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どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】

第5章 素性


「お帰り」

部屋を出た私達に、ヒソカがにっこりと微笑む。
不意に私は、彼に対してどんな感情を持てばいいのだろう、と思った。今手術を終えた男性は助かったが、ヒソカの纏う血の臭いの主は無事なのか。そもそも一体誰の……、とそこまで考えてハッとする。確率は低いけど、ヒソカのものの可能性だってあるじゃないか。見た目はどうもなさそうだけど、伸縮自在の愛(バンジーガム)や薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)……彼の能力なら、いくらでも隠すことができる。
もし、もしそうなら、早く適切な治療をしてもらわなければ……!

「ハイ、どうぞ」

突如、降ってくる声と共に、にゅっと視界に入ってくる“天然水”の文字。
サキが顔を上げるとヒソカが、さっき渡せなかったから、とペットボトルを差し出していた。
天然水とヒソカとを見比べ、サキがプッと笑う。

『“できるだけヒソカと向き合いたいです”か』

サキはがしがしと頭を掻くと、仕方ないとばかりにペットボトルを受け取った。

「……サチが、アンタの心配してるわ。怪我してないかって」

呟くように言うサキに、私もヒソカも目を丸くした。
そしてヒソカは、気のせいかもしれないと思うほどほんの微かに、見間違いかもしれないと思うほどほんの一瞬、口元に貼り付けた笑みを崩し眉尻を下げた。
その表情は本当に意外で切なげで、私の目に印象的に映った。

「そうか、サチらしいね。怪我なんてしてないよ、ボクは」

そう、ヒソカは目を細めて返す。

「なら、誰が?」

私とサキの声が被り、ヒソカは片手を腰に当て私達を眺めた。

「強いて言うなら、雑草だよ。恐らく君にとってもね」
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