第15章 管理人のささやかな楽しみ
「それじゃあ、そろそろはじめますか!」
「そうだね。じゃあフード担当の俺から…」
葵は持ってきていた紙袋から、ケーキなどを入れる箱を取り出す。
そして箱を開けるとそこには…
「キッシュだ!!」
葵は共有ルームから持ってきたお皿にキッシュを乗せ、フォークと一緒に私に差し出してくれた。
「どうぞ。あとこれ、紅茶だよ」
そして、お茶会と言うことでその時の食べ物と一緒に飲みたい飲み物も持ち寄る。
葵はおそらくキッシュを購入したお店で紅茶もテイクアウトしてくれたみたいで、プラスチックの容器に入った紅茶を私に手渡してくれた。
「ありがと、葵」
「どういたしまして。ちなみにキッシュの具はベーコンとほうれん草だよ」
「もうそれ食べる前から既においしいやつですやん」
「こはね、突然の関西弁だね」
「うん。郁とか陽とかの前で使うともれなく罵声で返ってくる」
「うん、そうだろうね…」
葵は私が似非関西弁で罵声を浴びせられている光景が安易に想像できたのか、苦笑していた。
「それじゃ、いただきます」
「いっただきまっす!!」
私と葵はキッシュにフォークを入れる。
「~~~~~んまい!!」
「良かった!ここのキッシュ本当においしくて、いつも行くとつい頼んじゃうんだ」
「その気持ち分かるわ~!クリーミーな味わいの中に、ベーコンの食感と塩気がとてもいいアクセントになっています!!そしてほうれんそうを入れることで彩りがとっても豊かになりますね!」
「食レポだっ!」
「紅茶もうんまい!!」
「あはは、ありがと」
その後は葵に食レポ振ったり、突然の振りにも関わらず葵はさわやかに食レポこなしたりとしていたら、あっという間にキッシュを食べ終わってしまった。