第12章 管理人とドライブ
「まあ、そう言わずにさ!付き合ってくれよ!」
今度は私が頭を乗せている枕を引っこ抜いた。
急に頭の支えが無くなったので、私は驚いて目を開ける。
「ちょっ…海さんんんんん!!」
「こはね」
「な…なんですか?」
「俺が今日1日ここにずっと立ってるのと、ドライブ一緒に行くのどっちがいい?」
「ドライブ行く為に着替えるので一旦外に出ててもらっていいですか」
海さんは、たまに強引である。
「お待たせしました…」
私は部屋のドアを開けてエントランスに出ると、海さんが扉の近くで待っていた。
「おう!早いな!」
「そりゃあスッピンで出てきてますからね…」
私はさすがに化粧まで待たせるワケにはいかないので、スッピンのまま動きやすい服装で出てきた。
「こはねはスッピンでも可愛いから大丈夫だ!」
そう言って海さんは私の頭を撫でる。
やだ…そんなの言われたら…
キュンとしちゃう…
ワケないでしょうが!!
「そんな言葉で機嫌とったって駄目です!!」
「ハッハッハ!ばれたか!」
「やっぱお世辞だったんじゃないですかチクショー!!」
「機嫌は取ったけど、嘘は言ってねえよ!ほら、行こうぜ」
そう言って海さんはエントランスから外に出て私を手招きする。
呼ばれた私は少し赤くなった頬を服の袖で隠しつつ、海さんの元へ走っていく。
くそう…不意打ちとはなんたる卑怯な…
これが大人の余裕ってやつか…
そんな事を思いながら海さんの元へ着くと、もうすでに寮の前には海さんの車が止まっていた。