第9章 管理人の災難な夜
そんな事を考えていると、部屋のドアをノックする音が聞こえてきた。
「こはねさーん!駆です~」
「カギあいてるからどーぞー!」
もう完全にリビングから動く気が無い私は、既に部屋のカギは開けていたので、ドアの向こうにいる駆に声をかける。
「はーい!それじゃ、お邪魔しまーす」
玄関で靴を脱ぎ、パタパタと音を立てながらリビングへ入ってきた駆を、私はソファに腰掛けたまま出迎える。
「駆お疲れ~」
「お疲れ様です!こはねさん夜分遅くに本当にごめんなさい!これ、お詫びにベランダの家庭菜園で作ったじゃがいもです」
そう言って駆はビニール袋に数個入ったジャガイモを私に差し出した。
「うわー!ジャガイモは使い勝手が良いから、めちゃくちゃ助かる!駆ありがと」
私は駆からジャガイモを受け取り、キッチンへと向かう。
よし、明日はジャーマンポテトにビールだな…
そんな事を考えながら、ジャガイモを冷蔵庫にしまうと、リビングから駆が私に声をかけた。
「こはねさーん!このDVDってどこに置いておいたらいいですか?」
「ああごめん、テーブルに置いといてくれたらいいよー」
駆の問いかけに返事をしながらリビングに戻った瞬間。
部屋が真っ暗になった。