第3章 管理人は乙女の戦場へ
「あっ、すみません!何の話でしたっけ」
「俺のサークルの話!それでさ~………」
……だめだ。
現実に戻ったはいいが、隣を意識してしまってもうこの人の話が全然耳に入ってこない。
おわった………
そんなこんなで合コンはフィナーレ。
正直途中から何を話したかなんて覚えていない。
二次会も誘われたけど、こんな状態で行けるわけも無いので丁重にお断りして、私は寮へ帰宅した。
寮へ入ると私はそのまま部屋に入らずエントランスのカウンターに上半身から倒れ込む。
「撃沈じゃねえかよ……」
一応連絡先は全員と交換したけど、望みは薄い。
しばらくカウンターに倒れ込んでいると、がやがやとした声と共にエントランスの扉が開く音がする。
だがしかし、わたしはその姿勢から動く気力がもう無いため、扉にお尻を向けている状態だ。
「あ、こはねだ。合コンお疲れさーん」
…帰ってきたのはどうやら先程私の邪魔をしてくれた奴らのようだ。
新が私に近寄ってそう言う。
「ちょっ、まじ笑ったわ。隣で合コンしてるなーって思ってたら知り合いだもんな」
続いて喋ったのが、私が喋った時に最初に噴いていた同い年の葉月陽。
「一生懸命カルーアミルク頼んでたな。いや女って怖い」
「まさかカクテルよりも焼酎、ビール、日本酒が大好きとかはさすがに合コンじゃ言いにくいもんな!」
「しかも昨日なんてビール4缶じゃ酔わないって言ってたぞ」
「新まじかよ!!それ超ウケんだけど!!」
「それを合コンでは『そんなに強くないですう☆』なんだろ?」
「ぶわっはは!!ちょっ、それはやめろって!!」
新と陽がカウンターでぐったりしている私を2人で取り囲んで好き放題言っている。
顔は見えないが声だけで分かるぐらい、めちゃくちゃ楽しそうに。