第1章 高い空
かの人に拾われて五年と半年……
ついに、村塾開始……
私は、特別勉強が嫌いなわけでもないために、お父様の塾生になりました……と言うか、強制的に。
記念すべき1人目は、ヅラだった……
「君のお名前はなんですか?」
「かつら こたろうともうす」
「小太郎ですね」
「そのおなごは……」
「あぁ、私の愛娘の吉田 礼子です……ご挨拶なさい」
『吉田 礼子です』
「にておらぬな」
『ぁ……「へぼゥゥウ」』
解説するとですね、桂君にアッパーカットを容赦なく入れたお父様に二メートル弱吹っ飛んだ桂君……。
お父様は、口酸っぱく、似てなくとも、貴女は私の大切な娘ですから……と言うのがお父様の口癖で、昔、と言っても二週間前に三軒隣の与作と言う男の子にからかわれた時も、お父様は容赦なくアッパーカットをお見舞いした。
怖いよこの人……
別に気にしてないんだけどね?
お父様は気に入らないご様子。
「小太郎?二度とそういう事は言わない様に」
「ハ、ハイ」
『お父様……』
普通なら、感激するところなんだろうけど……私は畏怖の気持ちで反論できなかった。
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