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私ヒーローじゃないんですが【ワンパンマン】

第3章 第2話


今日はお昼ご飯の買い出しに来ていた。最近は兄さんの指導の甲斐あって私でも料理が作れるようになったけど、やっぱり兄さんのご飯が美味しくてこっちにいる時はいつも作ってもらっている。
「蟹食べたいの?」
蟹の爪を手に動かない兄さんに声をかける。
「そんな安物じゃなくて今度買ってくるよ?」
「そういうわけじゃなくて、ちょっと昔のこと思い出してただけだから」
蟹をカゴに入れるとレジに向かう。
「482円です」
スキャンし終わった商品を私は袋詰めしていく。しかし詰め終わると同時に大きな地震がきた。
(いや、これは地震じゃない……?)
「兄さん、これヤバイかも――」
「あ、82円あります」
「兄さん?!」
他の人たちは逃げ出したのだろう、店の中には人がいなかった。すると後ろで鈍く重い音が響いた。振り向くと天井が崩れ壁も無くなっていた。
「また怪人か?」
崩れた壁から見えた巨人に兄さんはささっと駆け出してしまった。私も空を飛びながら巨人の方に向かう。
「うきょきょきょきょ! 蹴散らせ!! 見せつけてやれーい」
近づくと肩に誰かいるのが分かった。巨人を操っているらしい。そういえば兄さんはと視線を左肩に向けると乗ってた。
「……って誰か乗ってる!!!!!」
「パンツはけよ」
(いやいや、そこかよ! )
声を出しかけたが敵に気づかれると攻撃されかねないので後ろで待機する。空を飛べるとはいえあまり飛行能力は高くない。結構これでも空中で止まっているのでさえ難しいのだ。
「肩に! 肩に乗ってるやつを殺せ!」
そう誰かさんが叫ぶと巨人は肩を叩く。しかし叩いたのは兄さんがいる方ではなく、誰かさんの方だった。
「ふふっ」
笑いが堪えられず思わず吹き出してしまった。
(いや、確かに肩だけどさ、肩だけどさぁ)
「兄さあああああああああああああああああん!」
巨人がやたらでかい声で叫び出す。あまりのでかさに耳を塞いぐが、それでも耳が痛くなる。
「どうしてこうなった! 俺はただ強さを求めていただけなのに! やっと最強の男になれたというのに!」
(え、それ自業自得ってやつじゃないの? あと最強とか言ってるけど兄さんの前で言うとあからさまな死亡フラグなんだよなー)
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