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私ヒーローじゃないんですが【ワンパンマン】

第6章 第5話


ぼーっとしながら休憩スペースに行くと今度は課長が待っていた。
「お疲れ様〜、ほいっ」
コーラの缶を私に差し出す。受け取るとまだ缶は冷たかった。
「また無理矢理連れて来たみたいだね」
「でないと殺されてしまいますので」
「テロ組織『KTF』がそこらの一般人を攫って生み出した怪人を助けたいのもわかる。でもね、怪人を連れてくるのはリスクが大きいんだ」
はっきりと言い切る課長はどこか悲しそうな目をしていた。
「……わ、私は、彼らを放っておけない。だから、だったら他の安全な場所に連れて行くから、その、ごめんなさい」
「いやいや、誰も連れて来るなとは言わないって言ってるでしょ?」
私の頭を撫でながら語りかける。
「シオンが、全員助けたいけど助かる奴しか連れて来てないのもわかってるし、辛い思いをしているのもわかってるから。アインツたちだって君が居てくれて本当に良かったって言ってんだよ。だけど、連れて来るならせめて方法ってものを考えよう? ヘリなんか暴れられたらひとたまりもないでしょ? 僕に連絡してくれればちゃんとした輸送用の車用意するから」
「……はい」
「ん、じゃ僕の要件はこれで。しばらくこっちにいるんでしょ?」
「『KTF』に動きがあったのでその始末で数日います」
「なら久しぶりにみんなでご飯行こうか! みんなシオンのこと気にかけてるからね。後でどこ行くかみんなで決めよう」
そう言ってコーヒーの缶をゴミ箱に投げ捨てて課長は休憩スペースを後にした。
(みんな気にかけてる……か)
なんとなくだが変な気分になる。とても嬉しいのだが、素直に嬉しいって言えなくて、なんというかいろんな感情が混ざっていく。戸惑い、喜び、疑い、悲しみ、寂しさ……。
(いや、考えるのは止めよう)
私は日本に帰るまでの数日、仕事以外をどのように過ごそうかとぼんやり思い浮かべながら休憩スペースを出た。
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