第2章 第1話
目を覚ますと最初に丸い電灯が見えた。その灯を見てぼーっとしていたがやがて意識がハッキリしてきて身体を起こした。すると頭にタオルが置いてあったようで太ももに落ちたタオルを片手にとる。
(ここは……どこだ? 少し狭い部屋だな。衣類や漫画が散乱してて……窓の外はビルが見える。私は布団に寝かされてて……あの通路の先は出口か? あとは壁が切り取られてるのはなんだ? 作業スペース的なやつか?)
とにかく状況を把握しようと見回していると通路の方からカチャッと音がしてあの男性が現れた。
「お、目が覚めたみてーだな」
「あの、ここはどこですか?」
「ん? 俺の家だけど」
「……え?!」
予想外の返事に私は目を丸くしてしまう。
(この人見ず知らずの私を自分の家にあげたってこと?普通救急車呼んでほっとくよね?面倒ごとに巻き込まれたくなくて無視する人だっているのに?)
「別に変なことなんかしてねーぞ」
「い、いえ。看病までしてくださったんですね。ありがとうございます。」
「まぁ、病院はやめてって言われたらなぁ」
(あんな無茶振り聞いてくれたんだ……私が言うのもアレだけどそういうのは無視するもんなんだけど……)
半ば呆れてるとボコボコっと切り取られた壁の向こうから聞こえてきた。
「あーそうだ、……えーっと名前聞いていい?」
「シオンです」
「んじゃシオン、これから晩飯作るけど食うか?」
男性の提案にまたもや目が丸くなる。
(え、この人どんだけ人がいいの? なんで赤の他人の私にそんだけ優しいの?)
「いえ、大丈夫です。そこまでお世話になるわけには……」
そこまで言うとお腹がぐうぅぅと小さく鳴った。そういえば今日は朝から何も食べていない。
「いいよ、こういう時はお世話になっとけ」
「……あの、後でなんか請求とかしないですよね」
「しねぇーよ!」
男性はそのまま壁の向こう、ボコボコと音が鳴る方へ行く。彼についていき様子を伺うとそこには見たことのあるようなないような設備がたくさんあった。