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私ヒーローじゃないんですが【ワンパンマン】

第2章 第1話


それはとある夏の日のことだった。
夏の暑さもピークに達していたようで、あちこちに陽炎が見えて蝉の声がやかましく鳴いていた。生き物の影もないこの空間はただ蝉の鳴き声が私の耳を支配する。
(もうどうにでもなればいいのに)
朦朧とする意識の中、人気のない公園のベンチに横たわる私は目を閉じる。ついさっきまでクリーチャー化していた身体はもはや糸が切れた人形のようにだらりとしていた。このまま暑い外に放っておけば体温調節もろくに出来ずデータが熱でやられ消滅できるだろう。生きる気力も死ぬ勇気もなかった私だがようやく消えることができるのだ。
「おい、大丈夫か?」
突然の男性の声に目を開けると黄色のつなぎ(?)にマントのついた衣装を着たスキンヘッドの男性がいた。私はほっといてくれと口を動かしたが声が出てこず、仕方なく頷くと男性は眉をひそめた。
「いや、大丈夫じゃねーだろ」
(じゃなんで聞いたんだよ、ほっといてよ!)
しかし私の思いに反して男性はどーすっかなーと辺りを見回している。
「しょうがねーから病院に連れてってやるよ」
病院というフレーズに私は飛び起きる。
「やめて!病院はやめて!私は平気だか――」
急に立ち上がったからなのか視界がグニャリと歪み身体の右側に鈍い衝撃がきた。
(私倒れたんだ)
そう認識したときにはすでに真っ暗だった。
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