第4章 第3話
怪人はビルに向かって片手を振り上げると、ビルの壁が大きく切り裂かれていく。
「こーんなに強くなったんですもの! ひひっ」
いい笑顔でこっちを見たと思ったらロボットの胴体が裂かれた。
「かはっ……!」
すぐさま反撃しようと腕を振り上げたロボットだが、怪人はすぐさま上に叩き上げる。そして身動きが取れなくなったロボットを攻撃していく。
(このままだと彼がやられるか)
誰かに見られると嫌なので戦う時は誰にも見られないように人がいないところに怪人を連れ込むのだが、今回は仕方がない。私は触手を出して地面に叩きつけ身体を上げる。そして伸縮自在触手を一気に伸ばして、先端を引き寄せるように縮ませる。こうすると縮ませた反動で身体がより上がる。そうして怪人たちに追いついた私はまた触手を出して怪人を地面に叩きつける。
「?!」
叩きつけると今度は触手を地面につけ、身体の方を引き寄せるように縮ませ落ちてくるロボットを受け止める。
「なっ……!」
ロボットはだいぶ破損はしていたが、まだ動いているところをみると修理すれば問題無いだろう。
「よくも邪魔してくれたわね!」
どうやら手加減をしすぎて仕留めきれなかったようだ。怪人がこちらに突っ込んでくる。……が。
パシンッ!
それよりも先に兄さんが一発ビンタをくらわす。怪人は爆散したのかビルの壁が血で染まっていた。
「蚊……うぜぇ」
とりあえずロボットを道の端に置いといて触手をしまう。触手を出した時に服が破れたが、いつもの通りに修復して綺麗にする。
「本当ならこの触手を見せたら生かしておけないんだけど、私たちのせいでやられたようなものだし、今回は黙っておいてくれる約束してくれるなら逃してあげる。どうする?」
「あ、あぁ……」
状況が飲み込めず渋々と頷くロボット。
「シオン、行くぞ」
また兄さんは私を置いて家に向かい出す。
「もう置いてかないてってば!」
「あ、ちょっと待ってくれ!」
ロボットが呼び止めるので何事かと振り返る。
「何? どうしたの?」
「俺は単独で正義活動をしているサイボーグ、ジェノスというものだ。……ぜひ君たちの名前を教えてほしい」
自分から名を名乗った礼儀の良さに感心しつつ自分の名を名乗る。
「私はシオンだけど」
「俺はサイタマだ」
「……弟子にしていただきたい」
「「……へっ?」」
