【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第1章 兵庫水軍との邂逅
きっと女みたいだなんて思っていたから夢になったのだと、
白南風丸はそう感じていたのだ。しかし。
「白南風丸あの」
「ん?何だ」
突然そう呼びかけられ、真顔でそう問い返す。と。
「それ、現実だよ」
麻言は言った。
最初その言葉の意図が掴めず、白南風丸はきょとんとした顔をしていた。
「……現実?」
「うん。その後、白南風丸が何かよく解らない事口走ったと思ったら顔真っ赤にして後ずさってって、そのまますっ転んじゃって……。
―慌てて風呂場から上がって、声掛けたら呻いたまま気絶してたんだ。
でっ、とりあえずすぐここまで連れてきて寝かした後に井戸から水汲んでそれでずっと頭冷やしてた」
一気に説明した麻言が『それ』と指さした先を見ると、
白南風丸の傍に畳まれている布が。
先程白南風丸が体拭きに渡した布だった。
「え~と、ごめんね。何処に使っていい布があるのか解らなくて、
僕が身体拭いた後で悪いんだけど……」
そう謝罪する麻言は本当に申し訳なさそうな顔だ。
そして、白南風丸は―
―口を大きく開けたまま固まっていた。
正しく言えば麻言が説明した後から、機能停止している。
「……ごめん、白南風丸。もしかして怒ってる?」
いつまでも言葉を発しない白南風丸にそう判断したのか、
居た堪れないように麻言は下を向く。
しかし、見た目の動作は停止しながらも白南風丸の脳内は
全力で思考を繰り広げていた。