第1章 きっかけ
彼は、大和。
私とは別の公立高校に通う2つ下の弟だ。
「大和!どうしたの?まだ朝早いじゃん」
私は大和にそう呼びかける。
「彼女待たせてんだよ!」
そう言って大和は大慌てでパパの隣に座り、いただきます!と手を合わせると掻きこむようにした朝ごはんを食べ初めた。
急いでてもごはんは食べるんだ…。
慌てて身支度したからか、髪もボサボサだし学ランもボタンがかけ違えている。
「大和、髪もボサボサだしボタンも全部かけ違えてる」
私は落ち着いてお味噌汁を飲みながらそう告げた。
「マジで!?」
それを聞いた大和は朝ごはんを食べる手を止め、ボタンを直して茶色い髪を撫でつけた。
そして壁上にかけられた時計を見て…。
「もう間に合わねぇ!ごちそうさまでした!いってきます!」
そう叫び、朝ごはんを残したまま家を飛び出して行った。
そんな大和にパパとママはいってらっしゃいと声をかけている。
本当に騒がしい弟だなぁ…。