第1章 きっかけ
そして会話も少ないまま、一松くんと別れ
家の近くまで来ると家の門から黒い帽子を被った男がそそくさと出て来ていた。
お客さんかな…?
私は特に気にすることもなくドアを開ける。
するといつもとは違っただだならぬ雰囲気がした。
「ただいまー……」
自分の声が静かな部屋にむなしく響きわたる。
可笑しい。
ママの靴はもちろん、今日は早く帰れると言っていたパパの靴もあるし大和のもちゃんとある。
それなのに誰も返事をしないどころかなんの音もしない。
嫌な予感がした。
気味が悪い…。
そしてその予感はリビングに行った時的中した。
「っ…!?」
そこにあったのは血まみれの家族の死体だった。
「いや…な、なんで…誰がこんなこと…」
私は膝から崩れ落ちた。