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失われた詩

第2章 天使の歌声



私達を乗せた車は港区のとあるタワー
マンションの下にいた

そう、私の住んでいるマンションだ。

このタワーマンションは管理が憤ってい
て、芸能人もまあまあ住んでいる。


『送ってくれてありがとう。お茶でも飲んでく?』

「そうしたい所なんだけどね、兄から連絡があってこれから行かなければならないんだ」

『そう···』

「クスッ、そんな心配そうな顔をしないで。大丈夫だから。それに、兄に早乙女学園へ行くことも話さなければいけないし、ね」


そう言ってレンはまた片目を瞑る

かっこいい。


『ん、分かった。じゃあ、また連絡するね』

「おやすみ My Lady」


レンの大きな手で顎をくいっと持ち上げ
られると私の額に静かにキスを落とした












レンと別れてマンションへ入るとエント
ランスには1人の男が立っていた

まるで私の帰りをずっと待っていたかのように

その人の横を通り過ぎようとして腕を掴まれた


『離してください。黒崎さん』


そこにはいかにも不機嫌そうな顔をしている
黒崎蘭丸の姿があった

黒崎さんはシャイニング事務所に所属してい
て、今はQUARTET NIGHTというグループの
メンバーだ。

ロックを愛しているらしく、服装はいかにも
ロックをしている人が着てそうな系統。

左右で瞳の色が違うオッドアイの持ち主でもある。


「ああ? てめェ今何つった?」


何もしていないときでさえ低い声が機嫌が
悪いってことで更に低くなっている

とても迫力のある声。


『何度でも言います。離してください』


キッと睨むと私を掴んでいた手は簡単に離さ
れて、黒崎さんは両手を顔近くまで上げる


「おー、怖ぇ怖ぇ。せっかくの美人が台無しだぜ?」

『からかうのはやめてください』

「相変わらず冷てぇなぁ」


少しの間沈黙が続いたが、それを破るように
お互いが笑い出す


『ぷっ、あははは!もうダメっ!面白すぎ~!』


お腹を抱えて笑い出すとそれを見ていた
黒崎さんも片手で目を覆うようにして身
体をくの字にして笑い出す


「ふはっ、はははは!!やっぱお前最高だぜ、せりあ!」


静かだったマンションのエントランスに
私と黒崎さんの笑う声だけが響いた


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