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失われた詩

第2章 天使の歌声



腕を引かれた私は気づけばトキヤの
胸の中にいた


「ト・・・HAYATO?!」


私のことを抱きしめていたトキヤの腕に
力がこもる


「HAYATOくん?」

「すみません監督、セリさん今日は体調が良くないみたいなのでお先に失礼させていただきます」

「そ、そうだったのネ。ごめんなさい気づかなくて。それじゃあセリちゃんお大事にね!HAYATOくんもまたね」


そそくさと監督は行ってしまった

私はまだトキヤに抱きしめられたままだ


「ト、トキヤ・・・?」


私の言葉で抱きしめられていた腕も解かれる


「貴女のせいですよ。そんな、可愛い顔をするから···」

『!』

「貴女はあんな人には渡さない」

『トキヤ? それってどういう···』

「これ以上は内緒です。さて、私はそろそろ帰りますが貴女はどうしますか?」

『私···この後、人と会う約束があるから···』

「分かりました。では、今日はこれで失礼します」


くるりと向きを変えて彼は行ってしまった

私はまだその場から動けないでいた

まださっきの、トキヤの熱が残っている

火照った頬に両手を添える


“貴女はあんな人には渡さない”


トキヤ・・・
さっきのはどういう意味なの?


トキヤのことを思い出しながらピンク色の
それをまた一口

すると人混みをかき分けて山田さんがやってきた


「サリ!ここにいたのか!先方がお待ちですよ」

『いけない、もうそんな時間だったのね。すぐ向かう!』


飲んでいたカクテルグラスを山田さんに渡す
と私も打ち上げ会場を後にした








会場の外へ出るとそこには立派な外車が
1台止まっていて、後部座席の前にこれ
また立派な燕尾服を来たお付きの人が立
っていた


「妃様、お待ちしておりました。どうぞ」


お付きの人は後部座席のドアを開けた

私は後部座席へと乗り込んだ

それを確認すると車のドアはパタンと閉められた


車の中はほんのりと薔薇の香りに包まれて
いて、そして私の目の前にも1本の真紅の
薔薇がある

私はその薔薇を受け取る


『相変わらずキザなことするのね?レン』


受け取った薔薇の香りを楽しみつつ、隣に
座っているオレンジ色の長髪の彼、
神宮寺レンに視線をやる。


「おいおい、そんな言い方は酷いな。My Lady?」

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