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失われた詩

第2章 天使の歌声




黒崎さんのお家は黒い家具で統一され
ていて、私の家とは違って充分な家具
と生活感に溢れている。

黒の本革で出来ている大きなソファに
腰をかけるとガラステーブルにコトッ
とマグカップが置かれた


「メシが出来るまでこれでも飲んで待ってな」


マグカップからはほかほかと湯気が出ている

そしてほんのりと香る紅茶の良い匂い


「ただのダージリンティーだ。紅茶にはリラックス効果があるらしいからな」

『ふふ、いただきます』


マグカップを手に取ってまだ湯気が出てい
る紅茶をふーふーと冷ましてから一口。

優しい味が口の中に広がる


「どうだ?」

『美味しいっ』


私の答えを聞くと黒崎さんはニコッと笑
ってからキッチンへと行ってしまう

飲んでいた紅茶をテーブルに置いて私も
キッチンへと向かった

そこには器用に包丁を操って野菜を切っ
ているエプロン姿の黒崎さん


「オムライスで良いか?」

『うんっ!黒崎さんの作るオムライス大好きっ』


ニッと笑うと料理を再開させる

黒崎さんがオムライスを作っている姿を
横から眺めているとあっという間に料理
が完成した

包丁で卵の真ん中に切れ込みを入れると
トロッと卵が流れる


『うわあ、凄い美味しそうっ!』

「当たり前だ!」


エプロンを脱いで冷蔵庫からケチャップ
を取り出すとオムライスにかける


「ほらよ」


差し出されたオムライスを受け取って
リビングに戻る

後から黒崎さんも自分の分のオムライス
を持ってやってくる


『「いただきます」』


スプーンですくってぱくり

ぱあっと自分の顔が輝くのが分かる


『美味しいです!とてもっ!』

「そりゃ良かった」


次から次へとスプーンがすすみ、
あっという間に完食してしまった


『ああ、幸せだったぁ。ご馳走様です!』


お腹がいっぱいになって満足気に自分のお
腹をさすっているのを黒崎さんは頬杖をつ
いて優しい笑顔で見ている


「そりゃよかったな。ちゃんと食わないと育つもんも育たねーからな!」


黒崎さんの視線の先には申し訳ない程度に
しか育っていない胸の膨らみ


『なっ!?どこ見てるんですか!』


恥ずかしくなって自分の胸を隠す


「もうちょい色気ねーと俺の女にはなれねーぞ」


食べ終わった食器を片しながらポツリと呟かれた

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