第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)
元王女の気品ある長い黒髪は、もう二度と会えないだろう姉を思い起こさせる。
ヴァイオレットの唇を受け入れているうちに、クレイオの脳裏にマリージョアでの日々が蘇っていた。
「ん・・・」
ヴァイオレットはとても美しい。
おそらく、天竜人から一番気に入られていた姉と並んでも見劣りはしないだろう。
だからこそ、思ってしまう。
───どうやって、貴方は生まれたの?
世界中から集めた美しい男女に無理やり性行為をさせなくたって、貴方のような人は生まれた。
美しくあることを強要されていなくても、貴方のように育つ人がいる。
「フフフ・・・ノリ気になったようだな、クレイオ」
自分からヴァイオレットの首に腕を回したクレイオに、ドフラミンゴは楽しそうな笑みを浮かべた。
「・・・ヴァイオレット・・・」
ねぇ、教えて。
貴方の美しさは私と違って“生まれ持って”のもの。
だから、凶悪なドフラミンゴすらも貴方を優しく扱うの?
その答えを求めるかのように、ヴァイオレットの顔を両手で挟み、重なり合った唇の間から舌を挿し入れた。
女性が女性にキスをする。
その背徳的な行為が興奮を煽ったのか、ドフラミンゴに操られているとはいえ最初は拒んでいたヴァイオレットの身体から力が抜けていく。
同時に、それまで仰向けでヴァイオレットを受け入れていたクレイオが身体を起こし、逆にヴァイオレットに覆いかぶさる体勢を取った。
「貴方は本当に綺麗ね、ヴァイオレット」
白いシーツに広がる、艶やかな黒髪。
赤く上気した、滑らかな肌。
そんなヴァイオレットは、同性から見ても美しいと思う。
すると、クレイオを見上げていた、ヴァイオレットが微笑んだ。
「それは鏡に映った自分を見て言っているの? クレイオ」
たわわな乳房にサラサラとかかる、柔らかな髪。
どちらのものともつかない唾液で濡れた、果実のような唇。
そんなクレイオは同性から見ても美しい、ヴァイオレットもそう思わずにはいられなかった。