• テキストサイズ

【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)





「ゾロ」

船に乗る直前、クレイオの手がゾロの服の裾を掴む。
振り返ると、何かを言いたそうに頬を上気させた彼女の顔がそこにあった。


伝えたい事はたくさんある。

夢を叶えて欲しい。
死なないで欲しい。
忘れないで欲しい。

でも、それ以上に伝えたい事。

それは───


「行ってらっしゃい」


麦わらの一味にして、“海賊狩り”ロロノア・ゾロ。
きっと今の貴方には、私の存在すら重荷になってしまう。
私の想いすら足枷になってしまう。

海賊は自由でいることが一番なのだから。


「行ってらっしゃい、“最果て”まで」


これまで“海賊王”ゴールド・ロジャーしか成し得なかったことを、貴方達が果たしてきて。

するとゾロは何も言わずにクレイオの後頭部を掴んだ。
強引に顔を引き寄せると、唇に深くキスをする。

1秒・・・2秒・・・
何十秒経っただろう。
言葉にならない会話をするように互いの舌を絡めていた二人は、想いが伝わり切ったとばかりに唇を離した。

そして、ゾロは最後にクレイオの頬を撫でてから、気合いのこもった顔で姿勢を正す。


「うし! 行ってくる!!」


まずは仲間達のもとへ───

二年間修行し、他を圧倒するほどの覇気を身につけた剣士は、グランドラインの後半の海を目指すべく、果てしない海へと帆を上げた。








/ 1059ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp