第2章 新選組
「ねぇ…さっきの話が本当なら、君は頭領なんでしょ?」
部屋に着いた時、総司が言った。私は畳の上に腰を下ろしながら、縁側に座った総司に答える。
「あぁ。それがどうかしたのか?」
「いや?頭領なら、仕事とかあるんじゃないの?って思って」
何だそんな事か、と思い簡単に答えた。
「弟に全て任せてきたぞ?」
「……は?」
「ん?」
「え?」
待て、話が逸れる。そう思っていると、総司が口を開いた。
「君、弟がいるの?」
「いるぞ?真面目で可愛い三つ下の弟がな」
「ふーん。…僕もいるよ、姉が一人ね」
暖かさを含みながら、何処か寂しげに話す総司の頭を、思わず撫でた。
「……可愛いな」
「! ……」
総司は抵抗せずに、その行為を受け入れた様だ。
可愛いものは、嫌いではない。可愛いは正義であると、本気で思っている。
「? …あぁ。総司、金平糖は好きか?」
頭に?を沢山浮かべて此方を見る総司。数秒後、「好きだけど…」と答えた。
「そうか。ならばやろう」
ほれ、と懐から小包を取り出した。これは、昨日の早朝に手にしたもの。まだ新しい。
「!どうして…」
「昨夜、お主が手を抜きながら行った身体検査でな、懐にこれが残っていたのだ。中々旨いぞ?…何、毒など入ってはおらぬ」
笑いながら言うと、総司はそれを口へ運んだ。瞬間、表情が和らいだ。余程好きなのだろうか。
「僕は巡察があるけど、君の監視は一君に頼んであるから」
またね、と言い、彼は行ってしまった。
「暇だ…」
何をすればいいのだろうか。
…それにしても、一君…とは一体誰のことであろう。
そんな事を考えている間に、夜は更けていった。