第10章 大事な存在*
日曜日。今日は久々の午後オフ
あの一件以来…前よりも黄瀬君との距離は縮まった気がする。瀬戸さんとも最近よく話すようになった。
「桜っちー!この後予定あるんスか?」
「これから大我と黒子君と会う予定だけど…?」
「えぇぇぇっっ!!黒子っちと?!」
「大我もね?!今日成凛も午後オフみたいで会う事になったんだ!」
「え”ーーいいな!俺誘われてないっスよ!?」
「今日黒子君と大我と会うけど…黄瀬君も来る?はい!今誘った!」
「行くっス!!!」
本当に犬みたいだな…さっきまで尻尾が下がってたのに今は凄い勢いで振ってるのがなんか見えるみたいで。なんか笑える。
「桜っち?何笑ってるんスか?」
「うぅん!なんか黄瀬君って……ポチって感じだよね?フフフ」
「ポチ?」
「うん!わんちゃん!よし!ポチお手!」
「なんスか〜それ〜!!」
「いいから!お手してみて下さい!じゃないと連れて行かないよ?」
「酷いっスよー!!…ハイ。」
「おーーよくできました!!じゃあちょっとしゃがんで!」
「ん?こうっスか?」
「よしよし!!ポチは良い子だ!!」
「ちょっ!桜っちー!髪ボサボサになるー!」
いきなり俺の事をポチとか言い始めたと思ったらお手とか…桜っちは何考えてるかわかんないっスよ…この俺にそんな事やらすの姉ちゃんくらいかと思ってた。普通だったらやらないけど最近桜っちは俺にも笑いかけてくれる。それが嬉しくてその笑顔が見たくて、ついついやってしまう。俺って…甘いんスかね?
「ごめんね?私、犬が大好きなんだけど…うち飼えないから今みたいにお手したりとか頭ワシャワシャするのに憧れてたんだよね〜」
「次はやらないっスからね!!」
「えー!あっ!もうこんな時間!!早く行こう!ポチ君」
桜っちが走りだした。
「もうー!ポチじゃないっすスよー!」
ほら。その笑顔だめっスよ?振り返ってごめんねって言ってるけど、顔はもの凄く笑顔。絶対悪いと思ってないっしょ?でもその笑顔に免じて許してあげる。