die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第9章 episode.9
『レイジはね、キミの事が特別って思って、どうしたらいいか分からなくなってるんだ』
ライトくんの言葉が、頭をよぎる。
ううん。
例え特別じゃなくてもいい。
こうして誘ってもらえた事が嬉しくて、それは紛れも無い事実で。
今はその事実だけで、充分だと思えた。
軽くシャワーだけ浴びさせてもらってから、二人でキッチンに立つ。
普段は私が自分とユイの分を作る位だから、目の前の沢山の食材が何だか新鮮に映る。
「あの、晩餐って、月に一度なんですか?」
「はい。
父上からのお達しでね。
通常我々は食事をしなくとも平気なのですが、嗜好品として楽しむ事もあるのです。
父上としても、そう言う場を設けて、少しは兄弟らしくして欲しいのかもしれませんね」
「…なるほど」
私はスープの為にじゃがいもを茹でる。
レイジさん、さっきは怒ってるのかと思ったけど、今日は沢山会話してくれてる…。
「貴女は、この家に来る前から料理などしていたようですね」
沢山のイチゴとベリーを水で洗いながら、私の野菜を切る様子を見ながら話しかけてくれた。