die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第9章 episode.9
「そうさ。
ボクは紳士だよ。
公園で吸血していたら気を失っちゃったキミを、おぶって帰ってきた。
それだけだよ」
「…本当に…?」
「だって考えてもみてよ、何の反応もないのにつまんないじゃない?
ボクにはね、そんな趣味はないんだよ」
し、信じていいよね。
じっとライトくんの目を見る。
「……」
「……」
「…。今からする?」
「!!ライトくんの馬鹿!」
私はドアを開け部屋から出ると扉が開かないように押さえる。
「あ!マイちゃん?
ちょっと、こんな事していいと思ってるの?」
「も〜、ライトくん、まだ寝ててもいいから、お風呂にだけは来ちゃダメだからね!」
「じゃあ〜、ボクここで綺麗になったマイちゃんを待ってようかな〜♪」
諦めてくれたかな。
静かになった。
ひとまずは、お風呂に入ってこよう。
廊下を歩いていると、何だかいい匂いがするような。
気のせい?じゃないよね…。
スポンジが焼ける匂い?
ああは言ったけれど、ライトくんの事だから気をつけてないと。
扉を振り返り見つめた後、階段を降りる。
降り切って曲がった所で、足が止まった。
「!レイジさん…」