die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第8章 episode.8
「んふ。
だ〜め。
口実にしようったって、そうはいかないよ?」
掴んでいた手首を離すとすかさず腰に腕を回してきた。
いつだって何かを口実に吸血してくるのはライトくんの方なのに…。
「マイちゃん、それ、もしかして本気で言ってる?
んふふっ。
レイジはね、君の事が特別って思って、どうしたらいいか分からなくなってるんだ」
「そんな、まさか…」
「ボクたちは、腹違いとは言え兄弟だよ?
見てれば分かるよ。
…まぁボクは特別そう言う事に関して敏感だし?」
「確かに、ライトくんは勘が良さそうだけど…。
でも…、あっ!」
「…んくっ…んくっ…ジュル…っはぁ。
ねぇ、もうこれ以上他のヤツの話なんてやめてさ、今はボクの牙に集中してよ…」
やめて欲しいと思っているのに、ライトくんに何度も牙を立てられて、そのふわふわとした感覚に身を任せるしかなくなる自分が恨めしくなる。
「ねぇ…。
次は、どこに欲しい?」
ライトくんの色を帯びた声だけが、私の耳に届いてー。