die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第8章 episode.8
「だ、だめだよ、ここ外だし、それにもう吸血は…」
日が落ちて、少し肌寒い風が過ぎていく。
ライトくんの掴む手首はビクともしない。
「大丈夫、もう暗くなってきてるし。
もし見られても、カップルがいちゃついてるようにしか見えないよ…。
ジュル」
手首の内側をひと舐めされて鳥肌が立つ。
「ひゃ…」
「んふ。
肌の上からでもいい匂いだよね…。
知ってる?
キミの血は、他にはない味がするんだ。
言うなれば、禁断の果実みたいな…?
ほろ苦くて最高♪」
ライトくんは尚も手首の内側をペロペロしてくる。
くすぐったいのを我慢する。
「いや、私には分からないよ…。
ライトくん、やめようよ」
手首から身体を離して、何とか逃げられないかとよじってみる。
「やめないよ…。
それに…さ!」
ぐっと掴まれた手首を引き寄せられ、噴水に座るライトくんに、立ったままの私が向かい合わせになる。
「ちょっと、ライトくん!」
「レイジの大事なモノを懐柔するって、な〜んだか余計に興奮するんだよね〜。
…チュ」
「ひゃっ!?」
鎖骨に不意打ちのキス。
「ライトくん、それってどういう…事?」