die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第8章 episode.8
確かにクレープにしてはちょっと割高だけど、今日みたいな感じのお礼にはお互いに負担が無くてちょうど良かった。
ライトくんは、人付き合いも上手そうだな、なんて思ってしまった。
もっと変なものとか、要求されるのかと思ったから、拍子抜けしちゃったけれど、本当に良かった…。
通り道にある公園にさしかかった時、隣を歩いてたライトくんが走り出して、噴水の縁にひょいと座る。
「ね〜、このまま帰ると羨ましがらちゃうから、食べてしまってからかえろ♪」
「あはは、分かったよ」
カナトくんやアヤトくんが騒いでる所が思い浮かぶ。
私もライトくんの隣に、縁に座るのはちょっと無理そうだから寄りかかる事にした。
「ねぇ、マイちゃん?」
隣で呼び掛けられて顔を向けると、いつものように意味深に微笑むライトくん。
「このクレープとさ、君の血を一緒に舐めたら、どんなに美味しいのかな?」
「…!」
慌てて噴水から遠ざかろうとすると咄嗟に手首をつかまえられる。
「んふ。
逃げないで…。
ボク、今日ずっと想像してて、もう我慢出来ないんだ…」