die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第8章 episode.8
「お陰様で助かったよ。
さすが、いいお店知ってるんだね」
「んふ。
じゃあさ〜、ボク、キミからお礼が欲しいんだけど♪」
しまった、この笑顔…この流れは…。
何か理由をつけてやんわり断らないと。
「ん〜お礼はもちろんさせて欲しいよ。
だけど、今日はもう持ち合わせ余裕ないから、後日でもいいかな?」
「ちっちっち。
ボクが求めてるのはそんな事じゃないよ。
もっと…別のものだよ?
んもぅ、分かってる癖に」
ウインクするライトくんを見て絶句し、ため息が出そう。
連れてきて貰っておいて申し訳ないけれど、やっぱりライトくんとは途中で別れるなりすれば良かった…。
「ありがと、マイちゃん♪」
ライトくんがお礼にと欲しがったものは、意外なものだった。
「うん、こんなもので良ければ」
「こんなもの、じゃないよ。
ここのクレープ、他の所のより割高だからさ、学生にはそんなにしょっちゅう食べられないし?
それ相応にフルーツもアイスも美味しいから、ボクは好きなんだけど♪」
クレープを手に、そのまま歩きながら帰る。