die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第8章 episode.8
ライトくんは、いつでも気軽に話し掛けてくれる。
どこに新しいショップが出来たのかとか、どのお店のマカロンの色が綺麗なのかとか、楽しく教えてくれるから、街までの道案内だってきっと快く承諾してくれるだろう。
だけど一番のネックは、また吸血される恐れがあると言う事…。
それは避けたい。
日用品がないと言うのは地味に困るし、他に頼めそうな人も居ない…。
実際一番出歩いてるのはライトくんみたいだし…。
彼に頼むしかないのかなぁ。
数日後。
結局私はライトくんに連れてきてもらい、街で買い物をしていた。
「欲しかったものは買えたよ。
時間割いてくれて、ありがとうね」
休憩で寄ったカフェでお礼を言うと、ライトくんはいえいえ、お安い御用ですと笑った。
「はぁ。
それにしてもさ〜、キミに誘われた時はビックリしちゃったよ〜。
遂にボクの牙が忘れられなくて、我慢出来なくなっちゃったのかな、って?」
ホイップクリームをトッピングしたカフェモカをくるくると混ぜながら、微笑みを向けるライトくん。
「あはは…。
街へ行くならライトくんに頼めって、レイジさんに言われたの」
「……ふぅん。
レイジがねぇ〜」
表情は変わらないけれど、少しだけ声のトーンが下がった気がする。