die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第7章 episode.7
胸の奥がまたどきりとする。
隠そうとしても無駄です。
手を伸ばすと一瞬身体がこわばるのがわかる。
警戒心は持ち合わせているのですね。
涙を拭うと、彼女の瞳が私をとらえる。
まるで時が止まったように感じる。
まっすぐな視線に、射抜かれたかのように目が離せない。
人間とは平気で嘘をつく生き物。
しかし目の前には嘘のない瞳…。
先程聞いたのと同じ事をそのまま質問したら、本当の事を答えてくれただろうか。
なぜ、貴女の瞳はそんなにまっすぐなのです…。
抱き寄せるとふわりとした温かさを感じた。
協力するよう説得すると頷いてくれた。
彼女は近くに置き様子を注視する必要がありますし…。
彼女を部屋に帰し、カップを片付ける。
カップを見て笑う笑顔…
無邪気に褒めてくれた言葉…
真っ直ぐな瞳…
ふわりと温かい感触…
深層心理を優位にする効果があると言うのに、私の事を信じてるなどと言うとは…?
無意識のうちに彼女の事ばかり考えている事に気付く。
「……今日の私はどうかしている」
散らかった様に乱れる気持ちをおさめようと早めに休んだ。