die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第7章 episode.7
一番多く吸血しているのは、ライトでしょう。
「ライトの事はどう思っていますか?」
「らいとくんは、いやだっていってもきいてくれなくて……
でもふわふわしてくると、ていこうできなくなります」
フッ。
やはり人間は、弱い捕食対象だと言う事ですね…。
しかし…何でしょう、この胸の奥底の重たい感覚は…。
「…れいじさんは…なんどもたすけてくれて…」
「!?」
「れいじさんのことは、しんらいしています」
胸の奥がズキンとして思わず息を呑んだ。
「貴女…。
余計な事は言わなくてよろしい…!」
目はまだ覚めていないはず。
質問に答えなさいと指示していたのにどうして勝手に発言など…。
椅子に座り読みかけの本に手をかける。
平静を取り戻そうとするけれどなかなか落ち着かない…。
本は手の中にあるだけで、読み進める事は出来なかった。
程なくして彼女が目を覚ます。
少し乱れはありましたが、彼女の様子を見ていると薬はきちんと効いていたようです。
杞憂に終わり、何よりだ。
慌てる姿を見るのは、滑稽ですね。
薬を使った事を告げると、彼女の瞳から涙がこぼれ落ちた。