• テキストサイズ

die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第1章 episode.1


あの、見下ろされた時の眼鏡の奥の冷たい瞳…あまり優しい人だとは思えないけれど、助けてくれたのは事実だよね。


「あとで、お礼を言おう」


私がそう言うと、


「うん」


とユイは笑った。
可愛い子だな…。


事態はまだよく掴めていない。

よく覚えていない、と言うのはさっきの出来事の事…もそうだけど、ここに居る自分自身の事…。

突然この状況に放り込まれたような気分でいるのだけれど、目の前のユイは姉としての私を知っているようで疑う様子もない。

何かを思い出そうとすると、もやが掛かってくる感じ。
はっきりと見えなくて、考えるのを止めたくなる。


今ここで私が取り乱しても、どうにもならないだろうし、この状況からして事を荒立てない方が安全な様な気がして、私は暫く周りの様子を見ながら自分を取り戻そうと思った。

記憶に関しては、誰にも悟られないようにしとこう。
/ 316ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp