die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第7章 episode.7
花を纏ったような明るさが透明感のある輝きを放ち、面食らう。
『貴女になどその価値が分かるはずもないでしょう』
いつもなら、その位言っているはずなのに。
理解され褒められて嬉しい…?
は、まさか。
では、どうして、とっておきのカップにお茶を淹れたりしたのです?
カップを目線の高さまであげて喜ぶ、この顔を見たかった…?
そんな、バカな。
やがて彼女は表層の意識を手放し、催眠状態になる。
あまり長時間は効かないので、早く済ませましょう。
「私の問いに全て正直に答えなさい。
貴女の名前は?」
「こもり…マイ…」
「この屋敷へ来た理由は?」
「……お父さんが…おせわになれって…しばらくるすに…するからって…」
それ以外の理由は知らない…と言う事か。
ちゃんと聞き取るため、ソファで横たわる彼女の口に耳を近づける。
「私の父上…カールハインツを知っていますか?」
「……?…しらないです」
一番気になっていましたが、父上とは面識がないのか。
もう少し基本的な事を聞いてみましょう。
「貴女の家族構成は?」