die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第6章 episode.6
猫の消えて行った方へ気を取られていると、レイジさんは背中を向けて、屋敷の方向へ一歩進みかける。
「あ、レイジさん、」
言いかける私の声を静かな声が遮る。
「貴女は呑気過ぎます…。
今は、月が満月に向かっている。
ヴァンパイアにとって、力が強まる時期…。
無能な貴女方人間にはとても太刀打ち出来ないでしょうね」
「…?」
「まだ、分からないのですか?
不用意に近づくと危険だ、とわざわざ親切にご忠告さしあげています。
自分の身を差し出しているようなものです。
それとも…」
レイジさんは再びこちらを向き直る。
「貴女はやはり、誘っているのですか?」
「そんな…そんな事、ないです」
「フッ、果たしてどうなんでしょうねぇ…
口ではどうとでも言えます」
私のあごに手をかけて傾けると簡単に首筋を晒してしまう。
「…!」
レイジさんの目がまたいつもと違う光を宿してこちらを見ている。