die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第6章 episode.6
いつも気だるそうにしているシュウさんが、少しだけ楽しそうに見えて嬉しくなる。
その後も何曲か弾いていると、シュウさんはその場で寝てしまった。
ユイと、そっと部屋を後にする。
庭園のお手入れの用具を持ち、外へ出た。
「良かったね、シュウさん聴いてくれて」
「そうだね。
見つかった時はもっと怒られるかと思ったよ」
ユイは庭園の落ち葉を掃き集めながら、私は薔薇の花ガラを摘みながら話す。
シュウさんは音楽がとても好きみたいだ。
少なくとも、あんなに自分から話すシュウさんは初めて見た。
「おや、貴女たち、こんな所に居たのですか」
ふと声がして振り返ると、レイジさんの姿が見えた。
「レイジさん…!」
瞬間、昨日の出来事がよぎって勝手に胸がどきりと鳴る。
「こんばんは。
今日は学校がお休みだから、私もお姉ちゃんのお手伝いしてました」
「そうですか。
貴女にしては気が利いていますね。
明日は嵐でも来るのではないですか」
「!酷いです…」
二人のやりとりを聞いていたら相変わらずの辛口に笑みがこぼれた。