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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第6章 episode.6


「…下手くそ」


暗がりから出てきたのはシュウさんだった。


「はぁ…、シュウさんでしたか。
驚きました」


ユイの手を引く力を緩めた。


「あんたのピアノ耳障りだ。
せっかく静かな所で寝てたのに、うるさい」


だるそうにピアノにもたれかかりながら言ってくる。


「ご、ごめんなさい。
不愉快でしたか…。
許可もなくすみません」


「まぁ…もう別にいい。
さっきの、バッハだろ?
他にも弾けるのか?」


これまでの事を考えると、こんなに会話が続くとは思っていなかった。


「え…っと、一応他にも何曲か弾けます、けど、もしかしてオルガン曲だったから不快でしたか?」


「そうだな。
あんた、この家でよく教会曲なんか弾けたな。
ちょっとイライラした…」


やっぱりそう言う事なのか。
彼らにとってそう言う類のものは弱点ではないにしろ、気持ちの良いものではないみたい。


「じゃあ、この曲だったらどうですか?」


さわりを少し弾いてみる。


「…あんたこの曲弾けるのか。
まぁ、それだったら聴いてやってもいいけど?」


「ふふ…。分かりました。
弾いてみますね」
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