die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第6章 episode.6
「あ、そんなに色々開けちゃダメだよ」
少し扉の開きかけていたその部屋を覗いてみると、そこにはピアノがあった。
「わ!ピアノまであるんだこの家…」
ユイは気にせず部屋に入っていく。
私も警戒しながら中に入る事にした。
「立派なピアノだね。
お姉ちゃん、確か弾けたよね?
ちょっと聴きたいな」
「う〜ん、でも私のはオルガンだしな。
それに勝手に弾いて怒られないかな?」
「大丈夫だよ、きっと。
少しだけでいいから聴きたい」
ユイにそう言われると弱い。
久しぶりに鍵盤に触れる気がする。
「じゃあ、少しだけね」
『〜♪』
静かな夜に、ピアノの音が響く。
広いお屋敷だから、弾いていて気持ち良い。
『♪〜』
弾き終えると、ユイがパチパチと手を叩いてくれた。
「久しぶりに癒されたよ〜」
ユイがそう言った時、部屋の暗がりから人影が揺れた。
「!」
驚いてユイを引き寄せる。