die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第6章 episode.6
「お姉ちゃん?
起きてる?私だよ」
訪ねてきたのはユイだった。
「どうぞ。
どうかしたの?」
ユイはたまに私の部屋に来ては、学校であったことや、この家の兄弟の事を話してくれる。
「それでね、アヤトくんてば、たこ焼き作れってうるさいんだよ!」
今日の話はアヤトくんが中心のようだ。
「あはは…。
同じクラスだと、いつも一緒だから大変だね」
ユイもたまに体調が悪そうな時があるけれど、新しい学校もそれなりに楽しんでいるように見えた。
ユイとのこんな時間は、束の間の安らぎとなっていた。
「じゃあそろそろ私はお仕事しようかな」
「え?今日みんなお休みだし、お姉ちゃんも休めばいいのに」
「ありがとう。
でも家の事はそんなに休んでいられないし…って言っても、今日はほどほどに、庭園を見に行ってみようと思うんだけど、ユイも一緒に行く?」
「うん!」
まずは準備をしようと、用具の置いてある場所まで屋敷内を移動する。
ここに来てからはいつも周りを警戒してないといけなかったから、ふたりで話しながら歩いているととても平和に感じる。
「この部屋って何だろう?」