die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第6章 episode.6
今日は学校がお休みで、私も夜まで眠っていた。
夜型のリズムはまだ慣れないけれど起き上がり、鏡の前に座ると昨日の出来事を思い出してしまう。
薬を飲まされるなんて酷いことをされておいて、少し優しくされた位で言いなりになるなんて…大丈夫かな。
何か、うまいこと利用されたり…。
でも言っている事は間違っていなかった。
私は無力だし事実今の所まだ何も分かっていない。
それに…レイジさんの瞳は確かに優しく憂いを帯びていて。
いつも言葉は冷たいのにあんな風に優しく抱き締められたら…拒否なんて出来なかった…。
髪に触れられる感覚を思い出す。
飲まされた薬は催眠効果のあるものだって言っていた。
何をされたのか全くわからないけれど、吸血されていない事だけは確かだった。
どこにも牙の跡がない。
きっとヴァンパイアには、相手を取り込んでしまう力があるんだと思う。
ほだされないようにしっかりしないと。
ここに居る理由もわかれば自分の為にもなるのだし、大丈夫だと自分に言い聞かせる。
メイクを終えた頃、部屋のドアを叩く音がした。