die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第5章 episode.5
「あっ、ごめんなさい。
とても可愛かったので…」
指摘されてすぐカップとソーサーをテーブルに戻した。
「やれやれ…。
カップの色柄を楽しむのもティータイムの一環ですし、まぁ良いです。
今日呼んだのは、貴女方について少々聞きたい事があったからです」
本題に入り、少し緊張が高まる。
そう言えば綺麗なお皿を見ていたらいつの間にか緊張もほぐれていたんだと気付いた。
「私たち、姉妹の事でしょうか?」
「はい。単刀直入に言います。
私は、貴女方がこの逆巻家に来た理由が、別にあるのではないかと思っています」
「…別の理由…ですか」
思いの外、重要そうな話で私も慎重になる。
ここへ来た理由…それは私も知りたいと思っていた事だった。
「ただ、今はまだその理由ははっきりしていません」
そこまで話すと、一度カップに口をつけた。
「…何か?」
視線に気づいたレイジさんが怪訝そうに尋ねる。
「あ、いえ、何でも…」
綺麗な所作に見とれちゃってた。
顔が熱くなって、私も紅茶を一口飲む。
「ん…美味しい…。
美味しいです、紅茶」