die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第5章 episode.5
私が思わず感嘆の声を漏らすとレイジさんはお茶を淹れながらこちらを伺っていたようだ。
「…ほぉ、貴女に価値が理解出来るのですか?」
「う〜ん、価値…は分からないと思いますけど…。
でもこの白のレリーフみたいなのも素敵だし、重ねてあるプレートと合っててすごくおしゃれ…」
「それらは、以前アンティークショップで見つけてきたものです」
と言う事はお値段もそれなりにするんだろうな…。
けど、一番の価値は…。
「どれも綺麗にお手入れされていて、すごく大事にされてるのが分かるので、それも価値のうちって事なんでしょうね」
笑顔になって見入ってしまう。
何だか色んな事が完璧なんだな。
「……。さて、無駄話はこれ位にして、お茶が入りました。
本題に入りましょう」
まだ見ていたかったけれど、そう言われてソファに座る。
テーブルの上に置かれた淹れたての紅茶も、綺麗なカップに注がれていた。
「わぁ、可愛い」
カップを目の高さまで持ち上げて見ていたら、カップ越しに冷ややかな視線とぶつかった。
「…そのようにカップを持つのはマナーがよくありませんね。
貴女は少しは常識のある方だと思っていたのですが」