die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第4章 episode.4
壁際に追い詰められて身を小さくする。
せっかくちょっとだけ仲良くなれたかもしれないと思っていたのに…。
顎に手をかけて上を向かされる。
「や、やだってばアヤトくんやめて!」
身体を押し返そうとするけれどビクともしない。
「暴れんなって…静かにしねーと…」
身構えた時だった。
「こんな所にいたんですか…」
声がして振り返るアヤトくん。
アヤトくんの向こうにカナトくんが立っていた。
「あぁ?なに、カナト。
何か用かよ。
俺様は今忙しいんだ」
今なら少し隙があるかもしれない。
逃げるなら今しかない。
「探していたのはアヤトじゃありませんよ、彼女ですよ、マイさん」
「え?私?ど、どうしたの?」
とりあえずアヤトくんの拘束からは逃れられた。
良かった、助かった。
「…どうしたの、じゃありませんよ!!」
少し安心したのも束の間、カナトくんが急に大きな声を出すからびっくりした。
「君、僕の部屋に無断で入ってたでしょう?」
「う、うん。」
無断でってのはちょっと引っかかるけれど、まぁ事実だ。