die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第25章 episode.25
「魔界の植物図鑑です。
あの、この前王立図書館で借りてくれた……」
「それは…本当ですか?」
「はい!
似ている花が載っているページがあって…。
詳しい解説は文字が分からなくて読めなかったんですけど、写真が並べられていたのをちょうど見たんです。
一枚は雪の中に咲いていて…これは、水辺に咲いていて、それぞれは葉が違っていました。
印象に残ってるので間違いないです」
レイジさんは少し考えているような顔をして、花を見つめている。
「なるほど…スノードロップ…」
あの図鑑は、見ていて楽しかったから確かに覚えてる。
けど…レイジさんが自分で見たわけじゃないんだから、もし気になるなら念の為この花も摘んで帰ってもいいと思う。
「あの…」
伝えようとした時、レイジさんが立ち上がった。
「よく、覚えていましたね」
私も隣に立ち上がったら、レイジさんの手が、頭を撫でてくれた。
「え……信じてくれるんですか?」
「おや、あんなに饒舌だったのに、自信がないのですか?」
「そんな事はないです…けど…」
「ふふ、急に顔を赤くして、どうしました? 」
良かった…。
私でも、役に立てたんだ。
嬉しい。
「では、行きましょうか。
目的地は、まだ先ですよ」
「はい!」
ずっと先のほうに見える、山の頂上は白く見える。
きっと、あそこにスノードロップは咲いているに違いない。
まだまだ遠いけど、視界に捉えることが出来るところまで来たんだな。
ぎゅ、とレイジさんの手を握った時だった。