die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第25章 episode.25
「それでは、私が見てきますので、貴女はここで待っていてください」
そのまま歩き出そうとしたレイジさんを、私は呼び止めた。
「あの…、私も行きたいです」
「それは…。
…まぁ、構いませんが…。
滝がすぐそばで危ないですから、くれぐれも注意してください」
「はい…!」
多分渋々だったと思う。
けど、それでも許可してくれた事が嬉しかった。
石がゴロゴロとある川沿いを歩き、淡く光る植物へと近づいてみる。
そのすぐ向こうは崖のようになっていて、そこが滝になっていた。
水の音がザァザァと大きく聞こえる。
滝を上から見ると言うのも、初めての事だった。
「わぁ…綺麗…」
小さな白い花が沢山咲いていた。
淡く発光して、薄暗い周囲にぼんやりと柔らかな光を放っている。
一部は水の中でも咲いていて、その様子はとても健気で綺麗だった。
「これがそうなのでしょうか…?
しかし…父上は山の上に咲くと…」
しゃがみこんでよく見て見る。
可愛い白い花には不釣り合いに思える刺々しい葉が伸びている。
何だかこれって…。
「…あっ…」
私は、ふと思い出した。
「レイジさん、これ多分違うと思います。
花はよく似てるけど、間違えやすいって載っていました」
「載っていた…?
一体、何に?」
レイジさんは怪訝そうな顔をしていて、にわかには信用出来ないと言いたげに私の顔を見た。