die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第25章 episode.25
…ん?
あれは…何だろう。
川の向こう岸、こちら側と同じように雑木林になっている手前、滝との境ギリギリのところが少し淡く光っているように見える。
「レイジさん、あれって…」
私が指を指すと、レイジさんは視線をやった。
「…ん?
あれは…ここからではよく見えませんが、植物に見えますね。
白っぽい花…でしょうか」
川の向こう岸…この川を渡らなければ行く事が出来ない。
「まさかあれが言っていた花じゃありませんよね?」
「まさか…。
ここはまだ山の中腹…いや、しかし…。
もしかしたら、種が飛んできてここへ自生した可能性もありますからね。
…念の為調べてみますか」
この川、川幅も結構あるし、水量も多いからこのまま渡るのはちょっと…。
橋とかも見当たらないし…どうしたら…。
ここには石以外役に立ちそうなものは何もない…。
「私が取ってきます。
…と、言いたいところですが、私と貴女は繋がれていますので一緒に行くしかないでしょう」
「は、はい…」
確かに、もし行くなら、さすがにこの蔦は川を越えられる長さはないと思われた。
でも、行くってどうやって?
「私に掴まって下さい」
「…え?」
レイジさんが何を言っているのか、意味が分からなかった。