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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第25章 episode.25


やっぱり暗い。


夜よりも夜らしい闇と言った感じ。


私はレイジさんに手を引かれながら、少し後ろを歩いていた。


足元が危ないからと、レイジさんの歩いた場所を踏んで進むように言われたからだ。


時々ざわ…と大きく木が揺れ、コウモリが飛び立つ音がした。


「レイジさん」


「ん…?何ですか」


「な、何か話してください」


「はぁ?
何か、とはどういう意味です」


「え…えっと〜、何でもいいんですけど、楽しくなる話とか…」


「ふっ…、くだらないことを。
楽しくなる話なら貴女の方がお得意なのでは?」


「え…そ、そうですか…?」


私そんな楽しい話とかした事あったかな…。


「だってそうでしょう?
よくニヤニヤとだらしなく笑っているではないですか。
先ほども、この煩わしい蔦を見て笑っていましたよね?
その考えて居ることを披露なされば良いのでは?」


「う…」


「それとも…、魔界に伝わるレイスの話でもしますか?」


「や、やだやめて下さい……!
全然楽しくないじゃないですか…」


「ふふふ、そうですか?
私は楽しいのですがね……。
残念です」


「もう…」


またからかわれちゃったに違いない。


んもう。
余りに周りが不気味だから、気を紛らわせたかっただけなのに。


レイジさんはちら、とこちらを振り返ってまた笑っているみたいだ。
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