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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第25章 episode.25


「…なくなっていますね…」


レイジさんは、昨日私が倒れてしまったあたりの窓際で床を見つめていた。


「この辺りでしたよね?」


「ええ、間違いありません。
完全に消えている」


私がうっすらとこの目で見た光景。


レイジさんは苦しそうに吸血した血を吐き出していた。


私も確かにそれを見たのだけど…。
その形跡はどこにもなかった。


床を調べていたレイジさんは、すっと立ち上がった。


「まずは片付けてから、食事をと思っていたのですが…。
まぁ、不可解ではありますが、無いものは仕方がない…。
すぐに食事にしましょう」


「はい。
私、ちょっと洗面台を使ってきてもいいですか?
……あ」


お互いの腕を繋がれていた事をすっかり忘れていた。


少し長めの蔦とは言っても、さすがにキッチンと洗面台の距離ほどはないようだ。


一瞬だけピン、と張った蔦がわずかにレイジさんの腕を引っ張るような形になってしまった。


「あ…!
ご、ごめんなさい」


「貴女…まさかわざとではありませんよね…?」


「ち、違います…」


「ふ、仕方ありません。
まぁいいでしょう。
そちらを先に済ませましょうか」
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