die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第3章 episode.3
皆が学校へ出掛けて行ったのを見送って、部屋の掃除を始める。
半日で全て回るのは無理だろう。
毎日少しずつやっていく事にする。
しんと静まり返った屋敷の廊下を掃除しながら進む。
「失礼します」
誰も居ないのは分かっているけれど、一応ノックと挨拶をして扉を開ける。
部屋の中を見渡すと、見た目には全く散らかってないし、すぐ終えられそうだ。
誰の部屋なのかな。
綺麗にしてあるしなんだかいい匂いがする。
ひととおり床掃除と窓拭きを終えて、ベッドメイキングしておこうとベッドに近づく。
シーツをめくろうとした時だった。
「マイちゃん♪」
突然後ろから声がした。
「きゃあ!」
誰も居ないと思ってたから驚きに心臓が一気に速くなる。
「んふ♪ボクの部屋で、何してるのかな?」
「びっくりした…。
ラ、ライトくんの部屋だったの?」
しまった…。
また、突然だったから、油断していた。
後ろから抱き締められてしまっている。
「そうだよ〜。
そんな、ボクのベッドで何しようっていうの?」