• テキストサイズ

die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第3章 episode.3


「はい、これ。
今朝うちのが産んだやつだけど、あげるよ」


「…わ!たまご!嬉しいです」


「いや〜正直さ、逆巻さんちはちょっと怖がられてて皆寄り付かなくてね」


そこまで言って、レイジさんを背に耳打ちしてくる。


「お兄さん、しっかり者だけどとっつきにくくてさ、お姉さんが来てくれて良かったわ。
んじゃ、よろしくね」


「ありがとうございました!」


自治会長さんを見送って、私達も屋敷に戻る。


「レイジさん、たまご貰っちゃいましたよ」


「…そのようですね。
私も見ていましたから、わざわざご報告頂かなくても結構です」


「そ、そうですよね。
すみません、なんだか嬉しくて」


私の腕の中のたまごをじっと見つめている。


「どうかしましたか…?」


「…いえ、早く戻りますよ」


何だろう、私がたまご貰った事気に入らなかったのかな…。


「でも、レイジさんでも曜日間違えたりするなんて、意外でした」


「…はぁ?
私が間違える訳ないではありませんか。
…アヤトですよ、あれは」


「そうなんですか?」


「アヤトは何度も注意しても自分がルールですから、聞きません」


ため息混じりの呟きに、レイジさんの苦労が垣間見えた気がした。


夕日が白いたまごの色をオレンジ色に染めていた。
/ 316ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp