die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第25章 episode.25
レイジさんが私の体温を求めてくれるのなら、いつでも差し出したい。
そんな事、私に了承を得るまでもないのに…。
「はい…」
「ありがとうございます。
……ふぅ…」
すぐに後ろで深く息を吐いた。
もしかしたら昨日の事もあって疲れているのかな?
でも、こんなに近くで深呼吸されると、ちょっとくすぐったい。
「ところで……。
私が今何を言いたいのか、勘のいい貴女ならお分かりかと思うのですが…」
「な、なんでしょうか…」
ぎくりと心臓が鳴ったけれど、気付かれないようにとぼける。
さっきまで自由に見つめる事が出来た綺麗なその顔を、今は直視出来ない。
後ろを向いていて良かった。
「おや、分からないフリですか?
困った方です、ふふ」
楽しげに笑う声を聴いて少し安堵した。
「…ねがお…。
見ていたんですね…?」
安堵したのも束の間、耳元に唇を寄せられ、囁かれた。