die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第25章 episode.25
記憶が途切れる前ーー。
目の前の景色が暗くなる。
立っていられない……。
重くなっていく自分の身体に、何かが起こったのだと察した。
不用意に窓など開けようとしたから……。
聞こえてくるレイジさんの声に、私は事の重大さを感じた。
やってしまったんだな…私は。
頑張って開けた眼に映るのはいつもと様子の違うレイジさんで…。
苦痛そうに血を吐き出す姿を見て、怖かった。
今の私に吸血する事で、貴方にまで何か起きてしまったら…。
反省しています。
ごめんなさいー。
こうして目を覚ましてからも、私は心の中で叫び続けている。
あぁ…けれどそれも次第に、首筋に与えられる快感に飲み込まれそうになる。
「……っん……マイ……」
「……っ……」
さらされた肩に触れるレイジさんの手にも敏感になってしまう。
吐息とともに時々告げられる私の名前に、今ここに確かに自分は居るのだと確信が持てた。
ああ…この感覚は何だろう。
身体の奥深くが、解放する術の無い熱が甘く疼くみたいで辛い。
甘いばかりの罰は、確かに拷問のような効き目を持っているようだ。
もう許してください…、お願いします…。